２００２年１１月２３、２４、３０日、１２月１日にトマティスジャパンのCAVを受講しました。
その体験記です。
トマティスメソッドは大きく分けて２つのトレーニングがあります
まず最初にやることは聴覚トレーニングコースです。これには言語コースや音楽コースなどがあります。これらを受講した後にあるのが発声トレーニング（CAV）です。
聴覚トレーニングは耳を改善していくプログラム。CAVは、聴くことができるようになってから美しく響きのある発声にしていくプログラムです。
つまり、トマティス理論の「人間の声には耳で聴いた音しか含まれない」ということの「耳で聴いた音」に関する聴覚トレーニングと「人間の声」に関する発声トレーニングの部分があるのです。
聴覚トレーニングだけでは片手落ちなのです。両方をやってこそトレーニングの成果は倍増するのです。
このCAVのコースは受付開始からわずか３０分ほどで満員御礼になるほどの人気コースです。
日原美智子先生が講師です。この方は世界の中でトマティス博士から選ばれたも３人のうちのひとりだそうです。とても響きのある美しい声です。
フォローアップもあり、これは受けといたほうがいいコースだと思います。
僕的には次のような方にお薦めです。
１１月２４日（土）
帰ってきたトマティスメソッド
トマティスメソッドのCAVを受講中。
トマティスメソッドは
「人間の声には耳で聴いた音しか含まれない」
という理論を基にしています。
音楽療法や言語習得に使われています。
昨年受けていた聴覚トレーニングコース（Audio psycho phonologie）は耳を米語耳にすること。
耳の再教育をしました。
これはトマティスメソッドの片輪だけでしかありません。
もう一つ重要な発声に関するコースがあります。
それがＣＡＶ（Cours Audio Vocal）という発声コースです。
このコースの目的は
正しい呼吸法をマスターし、美しい発声することです。
非常に多くの倍音を含む美しい響きの声になるそうです。
一言で言ってしまえばおもしろい！
身体感覚にどれだけ気づいているかが
自分にも他人にも心地良い声をだすことにつながっています。
まずは、身体をゆるめる体操をしました。
肺に対する意識を高めます。
そして、背骨、肩甲骨、骨盤とゆるめて自然なポジションに
なるように気づきを身体を動かすことで持っていきます。
トマティスの発声の基本は、頭骸骨から脊椎の５番くらいを
いかに響かすかが鍵となっています。
それを補うような体操もしました。
身体の内側をふくらませて骨を自由にする感覚。
自由になればいくらでも共振や共鳴が
自動的に起こるのでしょう。
自然体ですね。
そして、トマティスの聴覚トレーニング。
モーツアルトとグレゴリア聖歌を
久々にぼけーっとした１時間半を過ごしました。
ハミングの練習です。
足が床につかないように机の上に座ります。
そして身体をゆるめて、背骨をまっすぐにします。
これがなかなか難しい。
体重が前だったり、後ろだったり、
胸に力が入っていたり、背骨がそったり、
講師の日原美智子先生が、
「いい子ちゃんでしょう！」
「いつもがんばっているのね」
なんて声をかけていきます。
声でいろんなことがわかっちゃうみたいです。
身体の姿勢ができるとハミングします。
これがまた難しい。
努力して発信してはいいハミングにならないのです。
自分の声を身体の内側に吸い込み、聴きながらハミングする。
自分の身体を受信体にするのです。
小さな声で、自分の声を受け入れて
ハミングするととても気持ちが良い。
そのハミング音は心臓のリズムを刻みます。
みんなそれぞれのハミング音なんですね。
個人が本来持っているすばらしい個性が発揮されるんじゃないかなぁ。
そんなことを聴きながら感じました。
受け入れるということが大切なのだそうです。
受け入れるには自分をさらけだすこと。
明日のレッスンでは何が起こるのか楽しみです。
１１月２５日（日）
CAVの２日目です。
昨日のハミングにつづいてさらにトレーニングは進みます。
まずは、ハミングのおさらい。
約１ｍ先の床を集中して見つめます。
自分の着ている洋服を見て、さらに自分の視界すべてを観ます。
これが内観と同じ状態だそうです。
自分を観て、他人を観て、すべてのものを観る。
なかなか深い精神性があります。
自分の内側はとても静かです。
それから、舌を動かしてハミング。
この舌の動作が難しい。
さらに舌を使って母音をだしていきます。
この母音もただ舌の形を変えるだけで音声を変えます。
基本のハミングの響きは変わらないのです。
変わるのは舌と口の形だけ。
この口の使い方も縦に動かすだけ。
「イーッ」って横には広げません。
魚のコイの口のように使います。
閉口母音 u i e
開口母音 e a o
この２つの母音の発生の練習です。
響きのある母音は発声しても聴いていても気持ちが良い。
背骨の中を音が伝わって落ちていく感覚。
これを感じた時にゾクッという快感がありました。
人は誰でも発声することができます。
それをCAVではひとつひとつの動作に分割します。
それを単独で練習する。
されにそれをひとつずつ積み重ねて発声するのです。
一からトマティス理論に基づき組み立てなおすと
全く違ってすばらしい響きの発声になるのです。
姿勢
↓
呼吸
↓
ハミング
↓
聴く音の位置
↓
口の使い方
↓
舌の使い方
↓
横隔膜の使い方
発声するのにこれだけのことをしているんですね。
誰もがあたり前にできることを細かく分類して
トレーニングをし、自分の身体の使い方に気づく。
これで身体感覚はさらに繊細に磨かれていくんだね。
僕はイマイチ舌の使い方が理解できていません。
舌の位置を理解していなくてもちゃんと発音しているそうです。
これを意識でちゃんと気づけるようになりたいです。
日原美智子先生曰く。
CAVができるようになると
「物の見え方違ってくる」
「コミュニケーション能力がアップする」
どうなるか楽しみです。
今はただ音が気持ちが良いという感覚です。
朗読の宿題とトマティス体操と復習をして
来週の後半に向けて楽しもうっと。
１１月３０日（土）
トマティス・メソッドCAV３日目
先週に引き続きCAVを受講しています。
この１週間にいろいろやることがあったけど、
あんまりやる気モードにならなかったので、
気の向いたものだけをちょこちょこやりました。
ハミング少々、体操少々、朗読少々
最初に、この１週間で何か気づいたことをシェアをする時間があった。
気づいた人、気づかなかった人、変化のあった人なかった人
様々な人がいました。
人はそれぞれが違うので、ペースも違うんだなぁ、
これでいいんだなぁと思いました。
私自身は、あんまり変化に気づきませんでした。
１年前の聴覚コースで変化が起きたときの感動が
強かったせいかピンときていません。
身体がやっぱり固いなぁということ。
舌根の動きがわかるようになったことくらいかな。
うちのグループはまずは聴覚トレーニング。
モーツァルト、グレゴリア（発声練習付き）、モーツァルト
グレゴリア聖歌のマネなんて難しくてできないよ。
わけわかんないことを口ずさんでました。
グループレッスンは先週の復習。
ハミングをしました。
自分的には先週とあんまり変わらんなぁという感じ。
日原先生からは「うまいねぇ〜」を言われてすっかり有頂天。
なんとなく自分の中に入ってきたかなという感じがしました。
他の人のハミングを聴くと先週よりもみんな！
全員の響きが美しいのです。
確実によりよくなっているのにびっくり！
呼吸も姿勢も声もよくなってる！
ただ、自分で気づいてない人は先週と同じくできないみたい。
気づくこと、自分を知って初めて
変えていくことができるんだよなぁ。
そのことを目の当たりにしたのでした。
そしてハミングで歌を歌う。
歌い方はおもしろいんだな。
右の手のひらを下にして前にだす。
その手を横に開くことで音程が上がるのです。
手を背骨から開くことで横隔膜が広がる。
そのことで音程が変わるのです。
この手の広げ方で基音を返られるので
音痴も簡単に直せるそうです。
手の開き具合で音程が変わるのはびっくりです。
だって、自分の体が楽器なんですよ！
しかもコントロールできる不思議な楽器。
バイオリンを弾いているかのようなきれいな響きの歌でした。
そして、また聴覚トレーニング。
モーツァルト、グレゴリア、モーツァルト
最後のトレーニングは空間認知。
自分がどこにいるのかを把握します。
球体の空間の中心に自分がいるそんなイメージです。
そして他の人がどこにいるのか。
もしも、部屋で声をだすとしたら、
ホールで声をだすとしたら、
どんな声をだすのが最適なのか練習するのです。
自我が確立して（ハミングができる）
空間認知ができると緊張することがないそうです。
自分を観て、周りが観えればそうなるよね。
この音楽メソッドは奥が深いです。
何をやったかというと、部屋にランダムにイスを並べます。
そこに人が座っていて声を出す人は１点に立ちます。
そして座っている人に向けて「○○さん。おーい！」とボールを投げます。
ボールを投げて受け取るまで「おーぃ！」と声をだすのです。
近い人には低い音で短い声になります。
遠い人には高い音で長い声になります。
こんなこと初めての経験なのでおもしろいです。
声がボールが届く前にとぎれてしまったり、
声の調子が誰にもいっしょだったり
なかなか難しいのです。
これで感覚をつかんだら、
イスに座っている人は声を出す人に向かって背中を向けます。
そして、「おーぃ！」と声をかけます。
自分が呼ばれたと思ったら手をあげます。
これがねぇ。ほぼ１００％あたるのですよ。
特に背骨に向かって声をだすと当たるのです。
誰に声をかけているのか調整することができるんだね。
人間の能力ってすごいよね。
声を出す発声する、声を受信する能力
ともに磨かれたのでした。
基本は声を受信することなんだけどね。
自分の声を聴ければ響きが生まれる。
その響きが相手に共鳴するんじゃないかなぁ。
響かせる相手も選ぶことができる。
ＥＳＰみたいな能力が普通にあるんだね。
５感を磨けば自然にそれを超えた現象が起こるんだ。
発声は楽しいです。
自分の声で自分が癒されて、人も癒されたら最高な毎日だよね。
１２月１日（日）
トマティス・メソッドCAV最終日。
まずは、イメージトレーニング。
そして、今までの復習。
モーツァルト、ハミング（グレゴリア）
個人レッスン（自分が習いたいことをする）
グレゴリア、モーツァルト、朗読
右の耳の上で聴くというのが苦手。
すぐにずれてしまう。
そして耳をさらに高い所にして音を聴く。
上にひっぱられ、下にもひっぱられる。
なかなか意識していないとできないです。
そして、個人レッスン。
英語で歌を歌った方。
三味線で長唄を唄った方。
バリエーションに富んでいました。
英語の発音は音に聴こえなかったとしてもその母音の口の形を作る。
そうするととてもきれいな英語に聴こえるんだよね。
そして、音は下げずに、上げて上げて発声する。
単語で区切るのではなく連続して読む。
すると
響きがあり、さらにきれいに聴こえるのです。
三味線は弦を押さえて、それから弾く。
それを注意されていました。
それがきちんとできると音がきれいになる。
さらに、右耳の後ろで音を聴く。
すると、響きがまして、安定した音になるのだ。
演奏者が自分のだしている音の聴くイメージを変えるだけで
演奏される音がとてもきれいになるのだ。
発声も変わるんだけど、楽器も変わるんだね。
朗読は、響きで読んで、さらに感情をつけると体に染みる。
聴きたくなる朗読になるのだ。
響きというものはすごいよね。
僕は何をやろうか迷って、アファメーションを読んでみた。
そしたら、ボロボロ。
自分の声が体の中に入って来ない。
読めば読むほど怪しい感じになってしまう。
「年末に登場する怪しい集団みたいだ」と言われる。
アイデンティティがない声だという。
確かに音として発音すると響かない。
なんでなんだろう？
自分自身が確立されていない。
文章自体が自分の内面を動かしてしまう。
よくわからないがとにかくうまく朗読できなかった。
優等生ぐせのついている僕にはショックでかし。
人に誉められるためにやってたのかな？
これでは本末転倒である。
もう一度、自分を見つめてハミングからはじめよう。
自分のために自分の声をとりもどす。